満州開拓 富貴原郷開拓団の記憶

満州開拓-富貴原郷開拓団の記憶 - 箕輪町郷土博物館開館40周年記念冊子 - 箕輪町図書館蔵書のデジタルアーカイブ


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松沢:役場へ勤めてたんじゃあ無いねえ、あの人は。どういうあれで歩いたかねえ。宮下:だけど募集のようなことをして歩いてたなあ。―花岡部落には、じゃあ今言った浦野さんとか…。宮下:浦野さんとか、野田さんとか、向山さん兄弟。―一雄さんとお兄さんですね。泉平の方は?松沢:泉平はねえ、その酒井さんちゅう人と、酒井さんの兄弟ね、お姉さん、二人いたわけだけど。―伊那市ですよね。松沢:東春近だね、と思うよ。―酒井茂芳さん、幸子さん?松沢:その弟は、酒井さんのおばさんの弟さんが酒井さんなんだけえど、兄弟でいたんだよね。あれ何て…きよ…って人だったっけな?酒井さん酒井さんちゅってたもんで。―同じ東春近の人ですか?松沢:そうだと思うよ。わしたちゃあ…倉田さんに、酒井さんに。―倉田さん?松沢:ええ、倉田さん、西原の。倉田三郎さん。早くいっちゃったもんでなあ。宮下:おばさまは?松沢:おばさんはそこにいるけえど。宮下:死んじゃった?松沢:死んだ死んだ。―三郎さんも手記は書いて下さってますよね。清水町長の時に皆さん手記を書いて下さったじゃないですか。その中には手記を書いて下さってます。松沢:そう?宮下:重幸さんの時?―そうです。倉田三郎さんですよね。松沢:倉田さんもねえ、幾人…四人子供がいた。なあ。―戻って来てからっていうこと?松沢:こっち来てから。一人向こうで亡くしちゃったの。英ちゃ英ちゃっていってたけど。―倉田英光っていうのが息子さんですかね?松沢:あれ、英、英ちゅってたもんで。おばさんが。―倉田三郎さん。奥さんがてい子さん…ですかね?あと他に、泉平には誰がいましたか?松沢:泉平はね、北川さん。―北川米一さん?松沢:北川さんは、旦那さんが戦死しちゃったの、早くよ、もうねえ。北川あや子さんずら。(帰ってきてから)結婚しなんじゃってなあ、あの人は。ずうっと独身で通したに。―わかりました。他には?松沢:あれ困るよ、忘れちゃった。わしが一番仲良かったんだけど。伊那市の…その人何だったけね…新山じゃあないわ。小池さんもいたしね。宮下:小池豊平は、あれずら、わしたちと一緒に結婚式したっつう…。松沢:そうそうそうそう。―合同で?松沢:あの子、どっか行っちゃった。下駄屋さんしてたんだよ。箕輪のねえ。わしたち火事になってねえ、もうあのう…火事になって、そのお金が何か来たらしいんだよ。―お金?お見舞みたいな?松沢:お見舞い金がどっかから知らないけえど、ほいで誰も男の衆って居ないのよ、皆兵隊に行っちゃって。あの人と安藤さんの息子がいたなあ。―小池さんが鈴木正男さんの弟さんを一緒に連れて帰ってきてくれたそうです。松沢:あの人(鈴木暦造さん)は兄弟はいるかねえ、今の息子さん(正男さん)と他に?知らないんだよねえ、小さい子供だったもんでわからない。松沢:頑固なおいさんでねえ、鈴木さんて。死ぬような人じゃなかったんだよ。ほいだけど発疹チフスだかになったっつうもんでね。―今話があった安藤さんの息子さんっていうのは…。松沢:國ちゃ。―ああ、國男さんも一緒にいたんですね。同じ泉平だったんですか?松沢:泉平じゃない。あの人本部。―他に泉平は?松沢:泉平はねえ。吉田さんちゅう人がいた。あの人どこ行っちゃったら、子供一人っきりで帰って来たに。吉田さんはねえ、可愛そうだったぜ、おい。おばさんだってもう病人でねえ、歩けないじゃん。―吉田茂男さんの家ですか?南箕輪の吉田さん?宮下:そうそうそう。松沢:悦子っちゅう娘がいた。ねえ、その人ねえ、コレラで死んじゃったの。宮下:ああ、そうだね。松沢:ねえ、一晩で。まあずおっかなかったなあ。元気でいた人がねえ、一晩で、そこへ宿へ着いてねえ…。


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