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ども。その時分じゃあまだわからなんだけども。―一週間ばかり前ですよねえ、終戦の。八月の九日なので。白鳥:ほいでまだあのー終戦が二十日だったかね?―十五日。白鳥:十五日か。その時にまだ団から召集令状が、あの出征して行った人に届いた。確かチチハルだと思ったな、そこ行った町なんか何ともかんともなくてね、行く先がわからんて言って帰って来たちゅうのをね、子供心に覚えてるんだよ。「軍人たるもの行く先がわからんで帰ってくるなんてなんてこんだ。」って怒られてるのをね、子供心に聞いてたんだよ。そういう経験が…。―それで知ったということですね。白鳥:どうなってるだかっちゅうことはわからねえわけね。ただ行くとこがなかったちゅうことで。―ええ。白鳥:ほいだもんでそのー、終戦ちゅうのは今だにすぐその八月十五日ちゅうことがピンとこねえんだよ。ほいでその日の朝ね、事務所の前でのとこにツバメの巣があってね、ツバメが朝起きたら下に落って死んでてね「いやな予感がするなー」ちゅうことはそこに三人ばかいりた衆がね、言うこともね、それもいくらか覚えてる。―実際戻って来た人たちは、行ったけれども終戦でそこに集まるべき人たちがもう解散になって戻って来たということなんですね。多分それよりちょっと前の召集で団長さんも、村上さんって招集されちゃいますよね。その時点でじゃあ残られたお父さんが団長代理だったということですか?白鳥:そうです。その村上さんも辰野だったかね。―村上さんは辰野で、木下の柴朋美さんという方が村上さんの息子さんだということで聞いたんですけど、もう本家の方は誰も居なくて、出ちゃっているからもう全然わからないと…。残念ながらもうどなたも居られないということで。白鳥:あのー家の親父もね、引き上げて来るについていろんな資料をね、あっちに隠しこっちに隠して、まあ来たようだけど順に見つかってね…。―お家に何か資料ありますか?白鳥:無いんだよ。―昭和四十年頃に全国の開拓をまとめた冊子があって、、この富貴原のところに終戦になってからの概要が書いてあって、最後に「本団には詳細な避難報告があるが省略した。」と書いてある。きっと村上さんか白鳥さんかどちらかが避難のことをまとめたものがどっかにあるのかなと思っていたんですけど、特にそういう物も無いですかね。白鳥:何かね、そうとう苦労してきたようだけど、途中でね、順に見つかって取られちゃったって切ながっていたけど。―基本的にはないのが当たり前ですかね。白鳥さんご自身が終戦後の様子について、何かご記憶に残っているところはありますか?白鳥:一番びっくりしたことはね、あの早く言えば匪賊だけどね、最初は個々で逃げたけど、そのうちに順に匪賊に遭ったりいろいろして、これはここにいちゃだめだっていうことで、公共施設に順に集結しろっちゅうことで、それでなんしろ現地人は日本人の持っている物みんな欲しいわけね。ほいで持てるだけ持って集結して、そうすると夜とか集団で略奪に来るだよ。向こうは銃を持ってるもんでね、手出しは全然できないし、夜それこそ鉄砲の弾が飛んでくると、ピュッと赤いのが本当に…。―見えるんですか?白鳥:畑の中に入ってね、すくんでたその上を飛んで行く。それでそれが治まってね、みんな建物の中にやったらね、木下から岡さんって言う人が行ってたけどね、その人がまだ姉さんのお産の手伝いに行くっちゅって行った人らしいけどね、その人はまだ結婚してなんでね、それで襲撃にあって鉄砲の弾がね、乳房の先っちょ、こっちからこういってこっち側へね、ふわーとしてるとこ。目の当たりに見たんだよ。―その時は夜ですか?白鳥:夜。夜だもんでピュッピュッってやつが見えたもんで。―手記で行くと多分天草の開拓団に逃げた後っていうことが書いてあるんですけど。白鳥:どこをどう転々としたか、そのことはよく覚えてないけどね、場所は。―岡さんの妹さんですよね。その方が、戻ったら撃たれてるってのが…。白鳥:みんな大騒ぎして見てる。行ってみたら、弾がこういうふうにプランプランしてるのをふっと見えたもんで、びっくりしちゃって。―鉄砲で撃たれて貫通したということですか?白鳥:そうそう。いろいろあったんだに。食べるもの無くてね、団で飼ってた馬を殺して食べるじゃねえかっちゅうことになっちゃって。―今まで一緒に働いてた…。白鳥:大人の衆たちはわかってるもんで、そういうものを順に大事にとっておかなきゃってことがなかったもんでってことだと思う。―一緒に行った人に知野今朝一さんが居られたと思うんですけど、誰かの手記に知野さんのお兄さんかな、学校で先生をしていた知野吉太郎さんって方ご存知じゃないですか?白鳥:いや、ちょっと知らない。―その方も撃たれて亡くなられているんですけど、岡さんの時と一緒だったかどうかわからないですか?
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