箕輪町誌(自然現代編)

箕輪町誌のデジタルブック 自然現代編


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には寺社で配付したお礼を祭り、年(歳)神様として祭り、膳部を供え、御神酒とっくりと一つの皿には洗米、一つの皿には頭付(主として鰯)が供えられ、灯明がつけられて大正月の用意は完了する。年神様の奉仕は、すべて男主人か男の子と決っており、女の奉仕は忌みきらわれている。大正月の聞は毎朝洗米を、タには灯明を上げる。年とり大晦日までに一切の勘定、年神様の設置、松、オヤスの飾付け、お供餅を供える。日暮れ頃までに一切の準備が整い、一家揃って年とりの膳につく。料理は鰯(鮭)の切身を酒粕で煮たものに、こんぶ、まめ、田作り、たこ、竹輪、など肴に、汁は野菜(大根、人参、里芋、馬鈴薯、青板こんぶ、豆腐)で、お神酒をのんで年取りをする。その後は除夜の鐘「百八の鐘」を聞くのである。正月元日若水を汲むんでお茶を入れ、干柿、栗、豆、梅漬で「おめでとう」の挨拶を交して飲む。年神、神棚、仏壇に、お茶、お神酒を供え、屠蘇を祝い雑煮を食べる。近親縁者、寺院に年始廻りをする。二日仕事初めであってゆいそない(草苅りに使用する一米位の縄)を行い、一駄分を年神様に供える。長芋のすり初めで朝食をとる。商庖では初売りで未明から庖を聞いて景品付の大売出しを行なう。六日六日年といい、鰯ぐらいで年取りをする。七日朝食に餅を入れ、年神様に供えた粥かき棒で先に餅をはさんでかきまわして七草粥を炊いて祝う。七草としてはせりぐらいしか入れない。大正月の飾りは外の〆飾り、松は取はずされて、村内の辻々で子供等によって、どんど焼が行なわれる。八日八日山(初山)で薪取り初めである。ほんだれ迎えで新しい薪を三把或は大束で一把を切って来て、切口を上にして、中心に松の三階又は五階、部落によっては椛の木の二米位のものを立てる。これを「ほんだらはやし」と言う「きはだ」と「ぬるで」の径三糎長さ二十糎位に切ったものを五糎皮を残してけずる。きわだは黄色くなるから栗、稲穂、ぬるでは白いので米穂にたとえて柳、みずぶさの枝に繭玉と共に五ケか七ケをさして、飾付けは十四日に行なう。


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