箕輪町誌(自然現代編)

箕輪町誌のデジタルブック 自然現代編


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もの、親戚に関係なく目上の人に依頼するものとがある。明治中頃までは鉄撲をつけるに親を頼んだが、その後は慣習はすたれて、形式だけの親として依頼して式当日の嫁の面どうを見たりする。現在では頼まぬ家が多くなった。婚礼日取りは婚礼、酒入れ、結納、ともに仏滅、三りんぽ等の日を嫌い、大安、とり、いぬの日の士口日を選び、婚礼の年は諏訪御柱の年はさけ、どうしても行なう時は節分までに式を挙げた。見立の膳婚礼の当日婿が嫁方の家に、仲人にともなわれ郎党を従えて出発するのを祝う見立の膳である。この座敷を前夜にするところもある。婿(嫁)の仕度ができると正座にすえ、一見いちげんに行かぬ親戚や友達に吸物と盛込みぐらいで小宴をおこなって、婿(嫁)、仲人、一見客を送る。婿入見立の座敷が済むと、仲人は婿、親戚の主だった者を伴い嫁方へ行く。〈一見の人数はあらかじめ双方で定めておく)座敷の口から上り、控室に入ると茶菓が出され、つづいて「おちつき」といって、多くは胡桃餅、巻ずしなどが出る。この間に仲人は贈物(結納とおなじ)に由緒書を添えて、土産物も贈る。今ではこの時に結納金を一諸に渡す。先方の両親、親戚代表は紋付羽織袴の正装でこれを受納し、仲人は「幾久敷」という言葉を入れて拶挨をする。一休みの後に座敷において婿と嫁方の両親によって親子盃、続いて兄弟、親戚盃をすませ祝宴にうつる。祝宴の中途で「婿の喰い逃げ」と言って、婿は誰にも挨拶せず家に帰る。仲人は頃合いを見ておひらきにして、仲人だけ残して一見客は帰える。その折みやげとしてもらった婿の膳部の料理を直ちに調理人に見てもらい、嫁方一見に対する献立の再検討をして、嫁方に負けないように腕を振ってもらったという。掠入入嫁方では婿入りの一行が帰えると、仲人が嫁をはさんで座につき、一見に行く親戚が着席して、見立の膳について、軽い酒食をすませる。見立の膳がすむと、やがて嫁は両親に今日まで育ててもらった礼をのベ、仏壇に進み先祖に礼拝し、仲人は別れの挨拶をして嫁方の家を出る。昔は駕龍を使用した者、馬に乗る者、徒歩でくる


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