箕輪町誌(自然現代編)

箕輪町誌のデジタルブック 自然現代編


>> 729

人民代表を選出しないのは、前例により冗費と手数を省くものである。以上の理由によって、原告東箕輪村小部分のみの請求には応ずることは不可能であるから、申分不相立旨裁判され、訴訟入費は原告の負担とするよう申渡していただきたい。明治二十二年五月二十七日に被告郡長代理の郡書記三石寿一郎は、長野始審裁判所松本支庁始審裁判所判事斉藤戒三へ答弁書を提出している。明治二十二年六月二十七日に至り被告上伊那郡長代理郡書記三石寿一郎は、原告東箕輪村の論弁を通読して再答書を提出した。原告としては、開産社財産は七郡結社中は共有であっても、ひとたび解散し各郡へ引分けた以上は、共有の性質が一変し、当初の出金株主のみの専有となり、銀行、諸会社解散と何等違いなく、全郡大多数の町村が公共物と認めて郡長に之を保護監督を委嘱するも、一村が之に異議ある以上多数により制定されるべきではない。被告郡長が之に関与するは、職権外であって、原告人民の所有権をじゅうりんする処置で速かにその管掌を解いて原告の自由にすべきものと被告答弁に反論している。この訴訟も此にいたれば、その主張とするところは、「公共物なりや、将又出金者の専有物なりや」に焦点はしぼられてきた。被告再答書も1財産分配法2開産社委員選挙方法3分離後もなお公共の性質を失わないこと4原告の要領に応ずることの不可能なる理由以上の四項目については、証拠文書の写を添えて反論するも内容に於ては、当初の答弁書と何等変りなく同一内容を多少証拠文書により説明にと父まるだけであった。


<< | < | > | >>