箕輪町誌(自然現代編)

箕輪町誌のデジタルブック 自然現代編


>> 728

明治十九年には委員は任期満了なるをもって後任委員選挙も行わず解散してしまった。全く管理者のない状態となったので放置することも出来ないので、当時役員の申出により各郡長協議の上、財産分配の方法を定めて、一般人民に協議した結果、多数の同意をもって分配案が可決され、更に委員を選定した。明治二十一年十月を以て各郡に分配し、委員は財産分配受領して来る迄の任であって処理する権能は更になく、之は保護監督する郡長には何等権限はない郡役所へ引渡す。(東箕輪村では郡長には、何等権限なしと主張)本郡の配当高は九千余円で、現金は三千余円にして他は貸付証書であり、十八年改正社金取扱い条例によると、二十年後に返期に満たざるもの、又種々事情があって返済せざる者あり、整理するは容易でないので、戸長と会同して処分方法を諮問したところ、処分しようと考えるが、徴収を終った後でないと不可能であり、そうかと言って整理委員等を置く時は得失を償わない憾があり、従来の慣行により郡役所、戸長、役場において整理にあたり、完決するをまって処分すべしと結論がでたが、固有の郡有財産でなく、新に生じたる財産であるから戸長は各町村人民に協議させた所、各町村の内多少の異なる意見はあったが、原告が提出した証拠第二号の承諾書が大多数であって、単に各村へ分割するよう主張したのでなく、無責任の連合会へ委任するが不当と申出た。人民の疑念のないよう管理者の権限内で徴収等に保管方法を諮問して事務完全にして、適宜人民の代理者を選出して処分することに決定した。原告は得失是非にかLわらず、直ちに各村に分離し、随意にまかせよと主張しても、財産の多数は証書であるので分けることは不可能であって、一村の為に郡内多数の村々は整理の上処分と決定しているので応ずることはできない。銀行、又は特種の株主により組織した会社でないので、郡民多数の意志を採り、単に事務の整理、現金の保管にあたるものである。


<< | < | > | >>