箕輪町誌(自然現代編)

箕輪町誌のデジタルブック 自然現代編


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保温折衷苗代についての広報を、産業部報として次のようにかかげている。これから約二十年余この最近まで苗代は殆どこの方法で行われて来た。沢区の有賀正一、大出区の丸山吉太郎両氏は戦後中箕輪村の篤農家として知られた。つねに研究心をもって新しい農業技術の開発につとめた人たちである。商代について有賀正一談「搭種時期と方法」天候にかかわらず四月十二日前後にまく予定である。方法は昼水をおとし、夜だけ水をかけるという折衷苗代でする。J一般には十五日二十日頃までであるが、初期の成育がおくれぬようにするため早目にする。腐敗病のおそれがない限り早い方がよい。なるべく早く苗をおこし、なるべく早く田へ移すという原則である。水質の関係もあるが、何時も苗のおきの悪い人は折衷式がよいと思う。今のところでは「保温苗代」が最も理想的である。但し費用のかかるのが欠点である。今年では坪三十円、骨がなければ五十円である。もう一年くらいは折衷式でやってみるがよいと思う。保温式の方は、今年当町で六千坪に及ぶそうである。「種の扱いとまき方」まき方はごく薄まきが条件であって、これが主眼である。種は水浸し一週間、風呂の湯に一夜漬け、それから土穴の中肥料は人糞尿、燐酸、加里で追肥に硫安をやる。人糞尿は成分がはっきりしないことと、腐敗病の出来やすいということであるが、前に撒布しておいて、ーそれから打起しをすればよい。殊に代掻きの時同時にやるのはよくない。黒沢式では冬のうちからやっておけという。改良苗代の作り方大出丸山吉太郎記ω種籾よく精選したものを塩水に浸し、さらにウスプルγの千倍液にて十二時間浸して消毒を行う。水温は摂氏十度を確保すること、これで胡麻薬枯病・馬鹿苗病・稲熱病の予防が完全にできる。消毒の時は水温によく注意する。消毒が終わればよく水洗して水浸しする。椅に浸種の場合は一日一回は水を替える。期間は水温の積算疾氏百度、迄とする。約十日十四日Jくらいでなる。要するに籾が完全に水に浸されればよいのである。水浸が充分となれば風呂湯四十度Cに一昼夜入れに二夜いける。これは発芽を促進するためである。鳩胸のとJころが少しさけるくらいがよい。水に浸しただけでは、そうにはならない。余り芽が長す、ぎると、外気との関係からよく分四分くらいにする。しかる後に種子を穴より取り出して催芽させる。催芽させた種子をさらに庭に穴を堀って菰三重くらい敷き、種子を入れ、さらにその上にぬれ菰を二重くらいに重ね、さらに棄を厚くかけて芽と根の伸長を三ない。但し紙をかぶせる保温式ならば差支えない。「肥料」て首代に播種する。坪当二合播以内とする。蒔付けと同時Pにス棒で種子の見えない程度にすり込む。沢


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