箕輪町誌(自然現代編)

箕輪町誌のデジタルブック 自然現代編


>> 191

甲第四一八号至急取調ヲ要スル義有之侯間左記ノ廉正確御取調来ル十日迄ニ御報告有之度候旨及照会候也明治二十三年五月五日上伊那郡役所処第一一課囲O箕輪村長田中喜右エ門殿一二十二年度町村税不納老人員弁金額一米価騰貴ニ付村内ノ状況弁ニ細民ノ状態甲第一一一一一号御庁甲第四一八号達米価騰貴一一ヨリ村内ノ状況及細民ノ状況共別紙ノ通リニ候問此段及報告候也明治二十三年五月九日箕輪村役場村内状況明治十九年以来米価低落ニ連シ各々稼業ノ途モ減シ金融ノ不融通ヲ覚ヘタルニ幸ヒ米価ノ廉ナルニヨリ細民ノ困難亦少当時の箕輪村の営業者区分表(伊那警察署提出分〉をみると、力投でわずかにその日をすごす貧民は二七人を数えるが、大変な苦しい状況であったことが察せられる。この年長野県では村の土地売買を調査すべく通達を出しているが、箕輪村では、売買が耕地だけでなく、山林原野に及んでいるところに、深刻な事態があることがわかる。甲第六号二本県達第三号ヲ以テ明治二十一年分土地売買件数全反別代価旦田畑区画ノ大小取調侯処別紙之通リニ候間此段上申在二十三年六月には、二・二倍と高騰となり、不景気は日本列島全体をおおうことになるが当地の状況はどうであったか。明治二十三年五月五日、左のような通達が来、この報告文が次のようにしるされている。ナカりシニ昨年収獲ニ不足ヲ告ケ民タ欠乏ヲ来タシ家計大ニ困難ナル情況ナリシニ突然米価騰貴セシヨリ細民ハ直接ノ困難ヲ感ジ間接是レヲ補フベキ賃金ヲ得ル稼業ニ一金ツテハ更ユ往日ニ異ナラズ故-一米価ノ騰貴ハ細民困難ノ度ヲ増シ家計益々困難ノ状況ナレバ村内未ダ不穏ノ状況ヲ見ル細民ノ状態細民ノ困難ハ常ナレドモ米価低落ノ際ハ日傭ノ賃銀食費ト相当ヲ得稼業ノ途少ナキモ辛ク家計ヲ営ム事ヲ得タルニ突然米価騰貴セジモ稼業ノ途且ツ賃金ヲ増サズ故二別年ニ比シ一一一日ノ料二日ヲ送ルニ足ラズ是レ米価ノ騰貴ハ無余潤ヲ一般ニ及ボサマルニ依レリ故-一細民家計上一一層ノ困難ヲ加へ就中今日ノ賃金今日ノ料ニ充ツル事-一至ツテハ去月以来降雨止ムナキユヨリ稀レニハ活計ノ術尽クルアリ蓋シ救ニ至ラサルモ押首ヲ終ワル迄ノ食糧ニ乏シキモノ全村十中ノ六、七-一及ブベク慨シテ困難ト云ワザルヲ得ンヤ」之侯明治二十三年三月十四日上伊那郡箕輪村長田中喜右エ門


<< | < | > | >>