箕輪町誌(自然現代編)

箕輪町誌のデジタルブック 自然現代編


>> 105

る習慣がある。ハトぐらいな大きさで、黒っぽい目だたない烏で冬は南の島に渡る。ももっか、ょたか、ともに昼間は姿を見せず夕方かう夜にかけて姿を現わすため、おそろしいものに仕立てあげられたのであろう。ホンシュウモモンガは交尾期になると、ネコのいわゆる「たけ声」に似ているので南小附近で捕獲された一匹は不思議なけものとして撃たれたのである。これも大いに保護すべき動物である。たぬき(ホンドタヌキ)長岡新田にはたぬきに関する資料がある。俗にムジナ、あるいはからだの白毛が8の字をかくのでハチムジ、またはハチとよぶ。意外なほど人家附近に棲息し、夜行性である。夏穴、冬穴といって夏は大樹の根もとなどに自然にできた穴、あるいは他の動物のすてた穴、まれに土蔵、寺院の床下などに棲み冬は岩穴にすむ。たぬきは犬の類であるがよく樹に登る。犬に追われるとすぐ木に登るし、果実を食うためにも登る。キツネに比べて警戒心が少なく、よく畏わなにかかるし、人に見られることも多い。雑食性でカエル、魚、カニ、ミミズ、昆虫、果実、甘藷など食う。巣の近くの一ケ所に糞をする。これが「たぬきのタメグソ」である。広さ一2Mのところに高くつまれている。十一月初めには柿を食うので柿の実が多く混じっていることがある。足跡は小型のイヌに似ている。四指祉で全体の形は円に近い。手の中央の二指が前方で聞いているので、爪跡はイヌのように先つぽまりで接近しておらず、足跡で区別することができる。たぬき寝入り、たぬきの腹つづみ、たぬき汁、たぬきの金玉などということばがある。たぬき寝入りはたぬきは実に容易に仮死状態になる習性があるからではないか。腹つづみはたぬきが雑食性で大食漢であることかもしれない。たぬき汁はおそらく同類のアナグマ汁(ニホンアナグマ)であらう。たぬきの肉は非常に臭い。たぬきの金玉は語呂がいいのだらう。これについては特別目立った特徴もないように思う。


<< | < | > | >>