箕輪町誌(自然現代編)

箕輪町誌のデジタルブック 自然現代編


>> 67

全域1此の資料から町全域を概観すると、南北の風が各地とも多い。付近の地形により差はできているが、~午前九時観測であるから比較的其の日を現す風向であるわけである。これは九時以降明朝の九時までの風向の変化については記録に現われていないので考察はあくまでその範囲を越えることはできない。各区に岳おろしということばがある。駒ヶ岳方面から吹く風をさす。中学、南小には南西の風の多いのはこの岳おろしであろう。天竜川にそっていわゆる山風、谷風、つまり昼から夕方にかけて谷から山にゆっくり吹き上げる山風と、夜から朝にかけて山から谷へゆっくり吹きおろす谷風が東小観測に僅かでも影響を与えてはいないだろうか、無風の最も少ないことから判断されるが、風力の正確な資料がない限り断定することはできない。長岡の一の沢風は一の沢川の谷風が冷たい空気を吹きおろし蚕室を吹きぬけて冷気を運び込むものと考える。風は対流現象によって起きる山風、谷風や海岸近くにみられる海風、陸風のように小規模なものから季節の変化によってシベリヤ大陸と太平洋との温度の差ができると、これによって起きる風の吹き方もかわる、これが季節風である。季節風は対流現象以外に地球の自転などの力学的影響を受けて風向が定まる。いずれにせよ箕輪町に南北の風の多い事は此の季節風の影響を受けているわけである。初霜について箕輪中学の記録を見ると昭和四十二年が十月九日、四十三年十月十六日、四十四年十月十三日となっている。概ね十月中旬が初霜のある時である。トタン屋根に白い跡を残し木々の紅葉もいよいよ鮮やかに色を増し秋のよろこびに浸る頃であり、厳しい冬への前ぶれでもある。棒のこずえの色を止め、畑のさつまいもの葉を黒くし、庭のサルビアの紅など、この初霜が姿を変えてしまう。初霜の被害に比べて晩霜のそれは大きい。霜の降りる天候はもちろん晴天で寒い朝であるが初霜、終霜は必ず前の晩から晴天で気温が下がり無風の朝に限られている。それは大陸から移動して来た移動性高気圧が日本をおおって雲のない晴天となり、空気は澄んで四霜


<< | < | > | >>