箕輪町誌(自然現代編)

箕輪町誌のデジタルブック 自然現代編


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三十五聞の川巾をもって工事は進行し、玉石コンクリート積みの護岸工事が施行され、長年に渉って悲願の暴れ天竜の濁水から耕地及宅地、家屋を護り平和な村になったのは昭和三十一年であった。その後も若干の災害はあったが復旧され、何等心配のない優しい天竜川となり、沿岸関係部落の住民の永年にわたる水との戦いに勝ち抜いた辛酸労苦の汗の結晶、が今日の美田であるといっても過言でない。支流河川においても予期しない災害があり、桑沢川出水によって飯田線の不通、宮沢川の出水により伊那土地改良区の幹線水路に多量の土砂、石の流入等があった。昭和三十六年の梅雨前線豪雨昭和三十六年五月下旬より六月上旬にかけて梅雨の走り程度の小雨が降った程度で、空梅雨におわるのではないだろうかと町民は等しく予想していた。回植も出来ない、植付けたが干上ったと報道されるようになり、心配されている時、六月二十四日昼頃になって待望の雨が降り始め、農家の喜びはまさに早天に慈雨と大喜びで、ほっと一息入れた。しかしこの雨も二十五日、二十六日と降り続き、一向に晴れる気配もなく、雨勢は一層つのるばかりで梅雨状態となり、町では水防団と連絡をとりつつ、役場土木課員により、各河川巡視と各区との連絡を開始して警戒態勢の万全を期し活動を開始した。二十七日の気象通報では大雨注意報が伝えられ、当日の信濃毎日新聞天気図及び全国天気概況は「台風第六号が四国に近づいている。また梅雨前線が紀伊半島から関東南部を横切っている。このため九州を除いて全国的に雨で前線附近ではところどころかなり大雨となっている。」と長野気象台は発表している。天気図を見ると前線が当地方を通過していて梅雨前線の影響をうけて降り続いた雨と集中豪雨による異常出水をおこしたもので特に中川村・駒ケ根市中沢・飯島町の被害は前例のない程の悲惨を極める状態であった。当町においては各河川の異常なる出水により、特に農業用施設の被害は多く、次に公共土木施設が続いている。当時の被害状況は次の通りである。


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