箕輪町誌(自然現代編)

箕輪町誌のデジタルブック 自然現代編


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を利用すれば、広大なる地域から莫大なる国益が生じる事を願っている。この理念が後になって、この代表者が、西天竜関発の推進者となっていることは、事業推進に大きく影響している。明治四年十月にいたって、水利用水計画を樹立の上、国の趣意に副って荒地、原野を開墾して、富国強兵に尽力して国に報いたいとの懇願書を神子柴村組頭高木省三、羽広村名主宮下源八、南殿村農清水平一、久保村農丸山寛一、富田村名主向山五郎、田畑村組頭加藤元造、松島村名主三沢理三治以上の七名連署で伊那県へ次のように差出している。明治維新によって、世の中は変ぼうして、前々からの良い風習、道徳を打捨て、現在の生業をもすてて、放浪する者も多い折柄、公儀においては、貧民救助の為に、荒地、原野を開墾してーャヶ年間無税に致すとの寛大なる御布告があったが、貧農としてはその趣意は有り難く御受けいたしますが、百姓は第一番にその資金もなく自力ではその調達もできず質素なる食物をとる事が精一杯の状況であって、前々から申上げた通り、次の事項について何等かの御沙汰を賜わりたいと懇願をしている。一、中野原の内、沢尻洞と申す所があり、実に水のある所にして、原野の内でも一番よい所で、この場所にはでづくり少々耕地があり久保村より出作しておりますので、此の場所に新村を設け、困窮者その他が同心協力できるように御仁意をもって、御骨折いたHふけば将来は人類が繁栄してよい村になると考える。一、新田については、天立一一周川を始め、各々の出水をそれぞれ利用して田用水とし、旧来の悪い習慣を排除して、開墾して耕作すれば国益の大なるものがある。業一、愚農の考えで申上げますが、天竜川、小沢川、横川の水をそれぞれ利用方法を考えますと、左の様な便利となる。第一、横川の水を利用して、上、下古田村用水といたし、両村が利用している用水は、出水共に流末において使用し、流末にて使用している分は、天竜川の水を用いることがよいと思う。第二、是迄両古田にて利用していた帯無川、深沢川用水を富岡、中曾根、中原において利用させること。


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