箕輪町誌(自然現代編)

箕輪町誌のデジタルブック 自然現代編


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設計と掘削作業与四郎清一外の横井戸は大規模であったから、予め工事設計書を作成した上で着工しているが、簡単なものである。「一、横井戸坑口ヨリ終点マデ三百問、但シ幅六尺、高サ五尺五寸、一間ニ付、二寸アテノ勾配ヲ付シ捺ヘル事O一、工事見積金七百五十円、一間ニ付金六円五十銭ノ割」O六分の一という勾配は、普通の横井戸よりややゆるやかのようである。間当り六円五銭の割とすれば、七O五円では三間分の半分にも満ないが、これは、三間分の資材費、石工等の費用が七五円で、実際にOOは支払われないが、自分たちの日当をそれに加えて計算すれば、間当り六円五銭の割りになるということであろうか。中曾根の「中の横井」の場合は、請負証に「一一五問、コノ請渡代金八百四十円八十銭」とあり、間当り七円一二銭となる。両横井はほぼ同じ規模であるから、与四郎横井の工事費について、前記のように考えるのが妥当であるう。「横井戸を掘るなら岳(駒ヶ岳)に向かって掘れ」という言い伝えがあり、事実当町の横井戸はすべて西、西南西に向かって掘られている。地下水を横穴で捕捉するには、水脈に対して直角の方向に掘削すれば失敗の確率が少なくなるわけで、当町における横井戸の方向が、西ないし西南西の方向に向いているのはそのためであると考えられる。先人達はそれを経験的に把握し、前記の言葉を残したものと思われる。道具はツルハシを主とし、唐鍬などで土を集め、パイスヶ、モッコ、箱舟(長さ一一一四尺、幅二尺ほどのハシゴゾリの上に箱を据えたもの〉で外へ運び出した。ツルハシを主としたのは、落盤を防ぐため、横穴の天井を曲面にする必要があったからで、他の道具では角のある穴となり危険が多かったためという。横穴が探くなると、掘削方向の延長線上に「天窓」と呼ぶ縦穴を掘り、天窓の下部から掘削してきた横穴目ざOOして掘り進み、同時にこれから掘ろうとする方向にも進んだ。地中で二方向から掘り進んだ横穴をつなぐことは容易なζとではなかった。その方法としては、横穴の壁に一一一ケ所ほどあかりを置き、それを直線方向の目安にするかブ磁石を使って横穴延長上の天窓の方向を知り、それを内部で確認して、「いけ磁」といわれる板をその方OJOO


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