箕輪町誌(自然現代編)

箕輪町誌のデジタルブック 自然現代編


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第二節湧水地下水は地表面下にあって、土壌、地層、岩石などのすきまを満たしている水の総称であって、いわゆる清水となって自然にわき出てくる水(重力水)と、それほど流れ出ない水(毛管水、被膜水、吸水水の類〉がある。人が特に利用することを考えると、重力水の方が重要な役割りを持っている、地下水は一般には、雨雪の量によって供給されるので、降水量の多少で増減するが、地盤の性質、とくにすきまの多少で含まれぐあいがちがい、すきまの大きさによっても湧出量の多少が生ずる。扇状地に西天竜のような水団地帯がある場合は、その下方の段丘崖に湧出する清水は、潅水期とそうでない時とに大きな違いがある。地表から地中に降下して行く水は粘土層や水をとおし難い地盤にぶつかりその表面の低い方へ流れが生じる。これが地下流水(水脈〉で町内では「水道みずみも」とよんでいる。砂や砂礁のすきまをぬって流れる関係で大きな抵抗がある。限られた時間に限られた土地に集まる水はおのずから水量に制限を受け、地盤の質にもよるが地表水とちがって、限られた土地で利用できる地下水の量には限界がある。町内の先人は「横井戸を掘る」といって、より多くの集水をするために枝分れした穴を、みずみちを求めて、多大の資金と労力と日数をかけて掘り進んだ。また町内にはこの湧水の近くに水神を祭ってある。石に水神と銘を入れたり、調を置いたりして、何々の水神様とよんだ。生活の基盤である飲料水を得られるのは神の力によるものとし、使用については其の清水ごとに申し合わせがされていた。この湧水を更に小川として部落内の屋敷近くを流して、飲用水その他に利用した。この場合は上流、下流の関係があるので更に細かい申し合わせが習慣化される程に守られていた。


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