箕輪町誌(自然現代編)

箕輪町誌のデジタルブック 自然現代編


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るものである。しかし耕地の一筆毎の出来高が違うということ、即ち、地力の差があるということについては自然に与えられたものとして誰も不思議に思わないでこれを受け入れており、それ以上には深く考えていないようである」として調査の必要性を述べている。また、土地生産力調査については、回、畑、果樹別に、その区分は「主として部落全員の話合いによって決められるものであって部落内の全耕地についてその一筆毎の作物の出来方(生育相)と裁培の難易(作柄の安定性)などの耕地の条件即ち一筆毎の耕地の地力差、地のよしあし、または耕地のクセなどの同じ条件のものごと区分し、生産力区分図を作るのである」と書いてある。部落全員の人が話し合う場を作り皆でその資料をつくるわけである。なおこの話し合いの場で注意することとして、「ただ単に収量による区分と感違いして、その年の現況収量の多、少によって区分し勝ちであるが、ここでいう生産力とはその部落の平均的な農法の下に長年にわたって得られた平均的な収量によって表わされている地力区分を意味しているものであるから、その収量をとるにいたった作物の生育過程と作柄の安定性などを考えに入れて区分しなければならない」とある。つまり、一年や二年くらいのことを挙げても駄目というわけである。そして、「この地図は、その部落で長年耕作している者しか作ることができないものであるので、自信をもって作るのがよい。この地図によって、よい作物を作る場合の土俵ができ上るのである」と記してある。土地条件調査についても、日常生活の中にある土をどのように見分けるかを示してある。次に現況収量と裁培慣行をグラフにして、考察を加える住組みとなっている。そして最後に本調査の活用について、次のように述べている。「国土調査表に基づく土地分類調査では以上のように国土の実態を把握して土地利用の可能性を明らかにするため、地図および簿冊を作ればよいのであって」特定の事業目的をもったものではないが、いかに分類をしても、またいかに立派な地図を作ったところでこれを活用しなくては絵に闘いたもちのようなもので何の役にも立たない。この土地分類調査の成果が大いに活用されて農業技術の改良とか、土地改良のためなどの具体的な基準として、実際面に役立たされることを期待しているものである。この成果は農民自らが調査を行ない長年月にわ


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